2017-01-01から1年間の記事一覧

田淵安一 - 西欧人の原像(人文書院)

田淵安一はフランスを拠点に活動した画家。 1951年、前衛集団コブラの運動終息の年に渡仏しているが、参加メンバーとは深く関わっていたようだ。 それもあってか、表象よりもマチエールの具体性を追う視点は共通しているように思える。 場所や時系列がスキッ…

P. アレシンスキー - 自在の輪(新潮社)

昨年の大規模展覧会を切っ掛けに、ようやっと積読から救い出せた一冊。 図版も多く、ブルトンからアポリネール、ジャコメッティ…そして自身の画業へと巡り、イメージの原型探索する愉しき随想。 その予測は大筋違わなかったのだけれど、これがなかなかに厄介…

イベント案内

時間線を現在という点に於いてのみ観察し得る僕らは、点から線への変容も、点と線の共謀も、本当のところは知らないでいるのかもしれない。 そんなことに思い巡らしながらDeAthAnovA氏のコンポーズをさらっています。 DeAthAnovA+小川敦生 = Bergamasqueで…

QUATTRO STAGIONI - Kneipenlieder(LP Pan '81)瑞

プログレ喚起させるバンドロゴには期待しない方が良い。 スイスのトラッドバンドがご当地作家の詩に曲を付けるという大層コンテンポラリーなアルバムなのだが、大衆教養を宗とするレーベルの性格もあってか、情緒過多な旋律がざっくりとした録音で収められて…

WANDERFALK - Mir Sin Noch Lang Nit Ower Schmitz Backes(LP Autogram '80)独

ハヤブサの意の名前を持つ、ドイツのトラッドバンド。 とはいえ、笛やフィドルが柔らかく描く雛びた田舎風景から、鳥を叩き落すようなこのドッタンバッタンしたリズム隊はなんだ。 唐突に鳴り出すエレキも味方に、土地伝来の節回しじゃ唄えないとばかりの気…

LUIAERDSGILD - Dubbelzout(LP Crossroad '82)蘭

去年の今頃ぐらいからトラッドの音盤に当たりが多い。 いやまぁ、僕の興味の方位からといってしまえば済む話なんだけれど。 ともあれ、口火切ったのはこのオランダのレコードだったはず。 アコースティックな編成に朴訥とした男声、寄合調のコーラスから、伝…

ライナーノーツ

Sweet Dreams Pressから発売されたオランダの美術家/音楽家 ダニエレ・ルメールさんのCDにライナーノーツを寄せました。 ルチア・パメラを先達として連綿と続く、乙女語りの創想力。衣装に楽器玩具、オーナメントに書き割りで一杯のクローゼット奥に開く入口…

イベント案内

6月にお誘い頂いたイベント『御座敷ジャングル』に再びDJとして参加します。 音盤/電波鳴らす饗宴に誘われ、秋の夜長へと繰り出してもらえたら幸い。 月影揺らすは鈴か虫か惑わす…酔狂な選曲でお待ちしております。 ■ 2017年10月10日(火) 【OZASHIKI JUNGLE…

装画

カタリコトリとピアノから零れる遊戯めく旋律。 スピーカーからの再現が、窓から射す陽に、翳を散らしていく。 流れているのは平野剛さんの新しいレコード。 ついに発売されました。 ジャケットに僕の作品添えて、ディスクユニオン池袋店、フクモリ万世橋店…

プレヴェール - のんぶらり島(牧神社)

『天井桟敷の人々』の脚本で知られるジャック・プレヴェールの仕事にシュルレアリスムの血統求めたら、辿り着いたのは童話。 2冊の絵本を合冊にしたもので、後半の『おとなしくない子のための童話』は別訳も存在するのだけれど…この封筒模した装丁が欲しか…

モラヴィア - 薔薇とハナムグリ-シュルレアリスム・風刺短篇集(光文社古典新訳文庫)

どうにも性愛の臭いキツいイメージがあったモラヴィアの小説、こうも突飛な世界紡ぐ作品群があったとは。 いや、国書刊行会から出ていた『現代イタリア幻想短篇集』で内2篇は読んでいたのに、別の作家が物したものと記憶していたのだからどうしようもない。…

展示案内

僕の『余白のための試論』は、期待していたのに中身が入っていなかった菓子折り/その期待ゆえに中身に気付かなかった菓子折り…を意識して作りました。 書物にも往々にしてあることと考えつつ。 きっとそれぞれがそれぞれに思惑封じた箱が居並ぶ展覧会。 神戸…

イベント案内

21日は、sorto&nodoによる音のご馳走に、箸休めとばかり幕間に選曲します。 夏の食事に箸休めとくれば…冬瓜でしょうか。 冬瓜のような味わい目指して、試し試し曲を並べています。 ■ 2017年7月21日(金) 【sorto&nodo 最新作”彩雲”リリースライブ】at 六本木…

イベント案内

急なお声掛かりに、なんとも良い響きの名を持つイベントへDJとして参加します。 盆栽ジャングルに夏の湿った風を送るつもりの選曲で臨みますゆえ、些か早い暑気払いと洒落込んでもらえましたら。 ■ 2017年6月5日(月) 【御座敷ジャングル】at 32016 live. R…

ジョン・ブラックバーン - 小人たちがこわいので(創元推理文庫)

ナチス残党の影が見え隠れする工場が元凶と疑わしき、北アイルランドのとある河口汚染。 相談受けたノーベル賞医学者は、別荘の地主でもある工場親会社の航空機メーカー社長と面識があること、また奇妙な状況下で我が子を失ったことに思い悩まされながら、ウ…

トマス・フラナガン - アデスタを吹く冷たい風(ハヤカワ文庫)

テナント少佐を主人公とした連作を中心に編まれたミステリ短篇集。 舞台は何時終わるとも知れぬ戒厳令下にある架空の軍事独裁国家。 しかも体制側に身を置く主人公というのは、どこかグラックの『シルトの岸辺』の不条理な設定を想わす。 状況に呑まれない姿…

展示案内

疎ましい時を退け、愛おしい時を維持しようにも、金銭では叶わない。 手に入るのはせいぜい、その時間の遺物のようなオブジェクトばかり。 本当に得たいものは、印象、感触、時間…いつだってかたちから離れたところにある。 制度・規範から離れた自らのもの…

イベント案内

幼稚園を会場にした催しで、フィルモアレコードさんと幕間選盤します。 この組み合わせに既視感持たれる人もありましょうが、人懐っこい謎を以て響きで問うことになるかと。 盛り沢山な内容の催しのようなので、ともあれ出合い頭の驚き逃さぬよう、耳に童心…

M・P・シール - プリンス・ザレスキーの事件簿(創元推理文庫)

昨年フィルモアレコードで『紫の雲』の邦訳の噂していたら、M・Pシールには既訳本があると教えられて、慌てて求めたのがこの逸書。 ジャンル横断する作家の仕事の中にあって、推理もの集めた短編集。 安楽椅子探偵活躍の嚆矢とされるだけあって、謎解きは卓…

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僕の仕事に「間」を読み、企画展へと誘ってもらいました。 いわれてみれば、僕にとっての「間」とは、線の飽和と表裏の「虚」なのかもしれません。 前期に、途切れつつも繋がっていく線で以て参加します。 ■ 【間の構造 -虚空をよみとる-】at 岩崎ミュージア…

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1月28日(土)17時から、野老朝雄 個展【RISING】開催中のArt & Space ここから にて、文様創造の同志 野老さんと僕 小川敦生でトークイベントを行います。 二人の認識の差異を糸口に、世界の感触について話せたらなぁと勝手思っていたり。 入場無料、持ち込…