WANDERFALK - Mir Sin Noch Lang Nit Ower Schmitz Backes(LP Autogram '80)独

linedrawing2017-11-16

ハヤブサの意の名前を持つ、ドイツのトラッドバンド。
とはいえ、笛やフィドルが柔らかく描く雛びた田舎風景から、鳥を叩き落すようなこのドッタンバッタンしたリズム隊はなんだ。
唐突に鳴り出すエレキも味方に、土地伝来の節回しじゃ唄えないとばかりの気分に任せた調子外れな女声が放たれる。
B面1曲目なんて…言葉が過ぎるかもしれないが…まるでThe Raincoatsへのトラッドからの返答だ。
零落したガレージバンドが帰り着いた郷里で、子供の頃参加していた民謡グループに迎え入れられるという物語を想像してしまうよ。
かといってラスティックパンクみたいな、再発見から伝承に飛びついた感触はない。
特別を望んでというよりは、異物をも呑み込みつつ今日まで続いてきた日常という感じ。
日常とは実際のところ、どんな障害があっても転がっていくのを止め得ないものだろうしね。
風土記や徽章に描かれた様式からは捉え難いが、倒けつ転びつ出来た破れほつれからは誰かの暮らしが見えてくる。
とびきり愛らしい綻びというのもあるじゃない。
しかし…次作でフォークロックとして繕われてしまうというのだから、ちと寂しい。
https://youtu.be/OhAIxLU-j4s