LUIAERDSGILD - Dubbelzout(LP Crossroad '82)蘭

linedrawing2017-11-08

去年の今頃ぐらいからトラッドの音盤に当たりが多い。
いやまぁ、僕の興味の方位からといってしまえば済む話なんだけれど。
ともあれ、口火切ったのはこのオランダのレコードだったはず。
アコースティックな編成に朴訥とした男声、寄合調のコーラスから、伝承歌の採集・延命を務めるグループかと思いきや、どうも違う。
オランダ民謡の旋律は結構バーバリックなんだ…と耳に響いた収録曲、その半分がオリジナルであることに気が付く辺りから、じわじわと捻りが効いてくる。
見知らぬ土地の習俗という大風呂敷に変拍子も妙な構成もまとめて包んでしまっていたが、構造へと向かう視点が明らかにある。
遠景に引っ込んでいるハーディガーディーやバクパイプの響きまで耳に届きだすと見えてくるのは、レコメン周辺のモダンなサロンミュージックと並べたくなるようなミニチュアめく細工。
なるほど、この感触にならジャケットの女児楽団の可憐さもしっくりくる…正直、おっさん声に先導されるとは思わなかったもので。
だからといって、これをフェイクと決めて掛かる必要もないはずだ。
土地や伝統とは「居場所」の謂いに他ならないのだから、住み難ければ改変、無ければ創り出しても構わないものだろう。
共通する節回しが地域に層成す時間であれば、歪みは演奏家が暮らす日々。