そこからでは見えないもの、そこからでしか見えないもの

8月29日。 朝起きると足先が痺れていて、背中の痛みは尚更。 洗面台に見る顔、首には、発疹が酷い。 せめて前日はと、ゆっくり過ごしたのが仇になったか。 堰き止めていた疲れが、どっと噴き出した形。 暑さにも追い立てられて家を出る。 乗り換えの大船駅…

渋谷小屋

7月3日。 レコード屋が撤退する街、渋谷。 連日のように閉店セールが行われているのだから、出発に気が急くけれども、 用心し過ぎた準備に食われて、レコード繰る猶予は潰えている。 それでも、探していたCLAUDE CAHUNの写真集ばかりは洋書屋で手にして、 …

夜の辿り着くところ

空気の冷たさに、人と人の空隙を錯誤することがなさそう…それが、冬が最も好きな季節であることの理由の一つ。 だからか、暖かい心持ちで過ごしていると、不安も訪れる。 隣人に手を触れることが出来そうなのは、きっと僕の錯覚だ。 12月4日。 祝いの品にと…

語る疼痛

医者に行っても尾を引く歯痛に、鎮痛剤漬けの数週間。 招待もらうまで、知らなかったTapeの来日。 JOHANは2月にSTEN SANDELL TRIOのメンバーとしても来日しているから、意外に近所で活動しているんじゃないかと錯覚する間隔。 近所であったとしても、機会逃…

触れる端から消えて行くもの 附記

伊出立前に抱えていたはずの執着が、日本に戻ってみると、憑きものが落ちたかのように抜けていることに気付く。 10月2日。 下校する学生の波を遡るようにして向かう和光大学、アンデパンダン展。 これを目的と訪ねた佐藤実さんの作品は、微かな現象を切断面…

触れる端から消えて行くもの 3

22日。 地図を見ていたらVia Fabio Filziという通りに聞き覚えがあり、なにかあるやもと午前中にミラノ中央駅から歩いてみることにする。 中央駅は、通勤通学観光での賑わいにボロボロになりはしないかと不安になるほどの壮麗さ。 ほとんど、権謀渦巻く御殿…

触れる端から消えて行くもの 2

20日。 中古レコード屋があったはずと聞いて、足を伸ばすナヴィリオ運河沿い。 催して仕方なく入る駅の有料便所…愛想の良いおばさんが、それこそ我が部屋のごとくきれいに飾っていて、それはそれで利用の甲斐はあったかも。 チョコかキャンディも貰えるんだ…

触れる端から消えて行くもの 1

ふと、昔好きだった人の名前を検索してみたら、一件の結果に当たる。 頁に記載されたプロフィールは確かにその人のもの。 ただポートレートに写る姿には思い当たる節がない。 そもそも顔を思い出せずにいたのだけれど、全くと言って良いほど記憶に繋がらない…

Le Mont Analogue

書き滞っていることの山を尻目に、今日のこと。 9月の展示に備えての映像撮影。 場所は制作現場たるウチなのだけれど、晴・曇・雨を目紛るしく繰る天気に揃っての食事と、ちょっとしたピクニックみたいになって。 糧はカレーとパンケーキと会話、歩みは鏡の…

懐柔総進撃

4月4日。 マネージメントとの最強タッグで向かう、錦糸町のとある企業。 線を描き暮らすためには、可能性の分岐を幾枝にも割いていかないと。 既存のシステム利用しては、見えた先でどん詰まり。 猿真似では、スケールが小さくなるばかりだということ。 自…

スノウ

前夜の予報が外れるよう願うも、そうそう上手くはいかず、明けて大雪の4日。 雨風に泣かされることはあっても、雪に阻まれるのは何年振りだろう。 北欧からの来訪者に会いに行くのだから似合いの風景かと、覚悟決めて出掛ける。 さすがに駅まで自転車でとは…

買物帳

用事のいずれもに綴りは纏わるもので、それこれ片付けるだけで億劫になってしまう。 結果、滞るのがここ。 凝りを解すように文字が紡げないものか。 今はまず、記憶を解かなければならないのだけれど。 10月31日。 会場が美容院とあって、不定な閉店時間を待…

点線

放した犬の帰趨を気にしたところで、仕方がない。 カード形式の図鑑の一葉を引き抜いたかの仕上がりに気圧されて、何につけてもフライヤー撒き。 実際のところの目的は、仕上がった額装の受け取りに出掛ける8月7日。 まずはデザインしてくれたgift_labに感…

顛末観光

既に出ている結果へ向かって、経過を辿り直すのは儚い。 が、それも自分の日記不精ゆえのこと。 7月12日。 メールでは既にイベント告知発信しているが、フライヤーの刷り上りはこの日。 ちょうど作品制作に素材仕入れの必要もあって、早速にも取りに出掛け…

ハードル走

調子の上がらない5月を暗雲と決め付け、抜き去る駆け足。 5月27日。 久々出会うN.Y.在住のsawakoさん目当てに、宮城から出てきていた友人と向かうは、川縁に間口を開いたカフェ。 combine、“カフェイン・チルアウト Vol.13”。 入場早々に見付けてもらい、…

経過と報告/硬貨と広告

13日。 列車内に、イヤホンに歌詞カード片手で唄っている老人。 知らず声が伸びるのか。 この節は…“霧の摩周湖”ですか? 刷り上ったフライヤーを受け取る代官山gift_lab。 手にした仕上がりは、レイアウトで眼にしていたのとは異なるモノクロが、予期せぬ柔…

坑道講堂

昨晩のこと。時間までと書店に立ち寄れば、ジュディ・パドニッツ“空中スキップ”の邦訳が出ている。 ケニー・リンク“スペシャリストの帽子”解説で柴田元幸が触れていて気になっていたのだけれど、これも奇譚ブームの恩恵か。 並べて平積みされている、訳者・…

「植物文様」展仕舞い

‘予定’は立てられたことでシュミレーションとはいえ履行が済んでしまい、もうそれ以上にはなぞることなど出来ないんだろう。 出掛ける前に組んだ予定を、帰りにはめちゃめちゃに上書きしていたことに気付き、唖然とするぐらいだから。 昨日が“植物文様”展 最…

哀れ景色は塵芥

オーバーヒートか、身体動かず。 午後過ぎの起床にも拘らず、未だ眠い。 一昨日の実演組のリハ終了時から、公演当日の開場まで、会場床にチョークで線を描いていた。 BGM持参で独りともなれば、自宅での作業と変わらぬものとのつもりが。 “サイレンシティ…

サイレンシティ

筆を落としたのだか、転がしたのだか、雲が様々に濃淡つける季節。 空と木々の稜線に見呆けていて、‘人さらいの森’に踏み入る。 伝え聞くところによれば、不意に振り返ると連れの姿が消える…とかなんだとか。 互いが相手を見失うのだから、なんのことはない…

うつろいのさま 序

会場設営を後日再構成して記す。 って、何を作り得ようというのだか。 9月11日。 午前から始める作業は砂を集めるかのごとく、散り散りは一つところに定まらず。 遅くになってようやっと、塵山の頂に着地点発見。 昼に食したのは、赤/黄/黒/白から2色を選…

ドクトル・ベクトル

9月5日。 木部与巴仁さん、上村美保子さん、JIGENさん、大熊亘さんとのイベントに向けてのリハーサル。 2つの声、2人の奏者、2つの視点。 実際の会場で編まれたラフは、完成にはまだでも、蛇行するレールのような姿を見せている。 えっ、パフォーマーで…

「植物文様」展 うつろいのさま

秋のとば口に、暑気が居座っている。 その気候もあってかの居眠りに、どれほどの時を費やしたか。 覚め切っていないのか、暑過ぎるのかやらで、時間の感覚がつかめない。 唐突に‘ジッ’と鳴る音と共に現れ、消えるものの正体がつかめない。 いやいや、録画で…

白瀧文化祭仕舞い

気付けば月を跨いでいて、展示はすっかり終了。 近く遠く足を運んで頂き、感謝です。 また、都合が付かず、万に一つと、念写に励んでいた人にも、ありがとう。 わずかでも、興味関心を媒介すればなによりかと。 視線が集約するところを持たないだろう会場。 …

白瀧文化祭

雨の幕の内に、暑熱が籠っている。 汗に湿って、日に幾度もの着替えを強いられる。 水を浴びた体で、部屋に散り散りに用意した着物を拾い身に着けていくと、帯ばかりが遠くにある。 手を伸ばすうちに、ずぶ濡れで川向こうの呉服屋に。 “さて、何をご所望で”…

seem仕舞い

昨日を以って【seem】終了。 来場多数、滞りなく会期を済ますことが出来ました。 多謝!!! 展示は点。 関わった誰彼に措いても、幾束もの線へと連なる端緒となれば。 会場近くに、通いたくなるほど美味い定食屋を見つけた…とかでもね。 最終2日、会場で過…

seem展開

昨日が、長尾明子さんとの2人展【seem】初日。 危ぶまれた天候にも、雨に誘われる人もあったのか、来場多数に感謝しきり。 跳ねが上がるといっても、それが季節の風貌だものね。 波紋散らして、どこまで響かせ得るか。 以前の作品から追って見ていてくれた/…

flower〜topography

見えている=存在しているものでもあるまい。 見慣れていた家屋が更地になっているのに出くわしたりすると、ふと、そんなことを思う。 存在に不安があるならば…と、周囲に触れ、感触を確かめながら歩いてみる。 傍から見れば、ふらつく体を支えようと、つかま…

seem

出掛ける日に限って雨。 薄日にも川向こうのアジサイは目に付く。 それが、ぐるり周って橋を渡り脇を通る際には、どうしてか見当たらない。 かといって探すわけでもなく、外出の度に川を挟んだ花を見ている。 幻であっても支障はないし。 植物の幽霊など…視…

MY MOLESKINE EXHIBITION

移動する展覧会。 牽引するは、欧州ノート・ブランド、MOLESKINE。 国内外のクリエイターがそれぞれに頁を埋めたノートが、あちこち経巡っていました。 僕のは、昨年の表参道ナディッフに始まって、京都恵文社を経て、今月初めまでブックファースト渋谷店。 …