2009-01-01から1年間の記事一覧

イベント案内

遊びに来ていた甥と、家の裏手に放置してあった材木を使って、 すぐ近所の空地の立ち枯れした中、小さな家を作る。 あまりに小さくて、ペンキまで塗ったというのに僕は入れない。 中にこもった切りの甥に向かって、 ‘長く過ごすには寒くないか’と問えば、 ‘…

イベント案内

映画の実際は、画が動いているのではなく、瞬くコマとコマの間を錯覚が埋めている。 …そんな話を持ち出したのは、久々に見舞った恩師の口から。 ‘時々思うの、わたしの日々も同じじゃないかって。 予め決まった出来事が幾つかあって、あとは幻なんじゃないか…

展示案内

十一月は、イメージで捉え難い。 秋と冬の間隙だからだろうか。 その空いたところに作品を並べ置くことにする。 すると、言葉が、手が、視線が交わされ、 ささやかに賑わいが興る。 この機に関わった者だけの、特別な季節を象るかのように。 散らばった点を…

WEB上のあれこれ案内

ずぼらでも良いように坊主で過ごしている僕からすれば、 図書館で出会う彼女の頭に黒く光るピン留めの数には感心するばかりだ。 だからといって、髪型に神経質な人でもないらしい。 付箋の代わりに、髪からピンを抜いて頁に挿している。 頁をぱらり。 髪がは…

イベント案内

オルゴールの箱を専門に作る人がいると聞いて、訪ねて行ったのは何年前だろう。 見本にと差し出された、角に飾りよろしく真鍮の留め金のある木箱に魅了され、 あつらえる気に駆られて、大きさ、木色、響き…と並べ立てていた。 では肝心の曲は?と問われ、オ…

イベント案内

知人から貰い受けたアップライトのピアノ。 隣家に接していないことから、家の一番奥へと据えたのだけれど。 部屋の立て付けの具合からか、床を踏むだけでポーンと鳴る。 書架から本を取り、夏物を仕舞い/冬物を出し、客の去る姿追って窓へ…。 弾いてもいな…

展示案内

降り積もった蝉の羽根をさくさくと踏んで、林を行く。 骸は、それぞれが生きた日付を閃かせて潰れる。 時間掛けて準備した一日を。 さて僕も、時を刻むために、丘の上の鐘楼へと登ろう。 それが、この道程の目的なのだ。 * ニューヨークの時計ブランド“NOOK…

イベント案内

風のとても強い日。 吹きっさらしの土手の上で待っていると、唄が飛んでくる。 びょうびょうと鳴る風に堪えて、合わせて唄う。 和声は風上の耳に届くことはないだろうけれど、風下には君がいる。 返らない君の声を想って、唄い続ける。 * 内藤瑶子さんのお…

上映案内

窓を開けた途端、床に落ちる影。 すわ、虫でも入ったかと振り仰ぐと、 わたぼこり。 いや、部屋に侵入した雲でしょ。 日差しを小さく遮っている。 * 先の川崎市市民ミュージアムに続き、山口絵美さんと共作した映像作品‘痕跡’公開です。 地域イベント、CET0…

装画案内

紫陽花は土壌から色を得るというが、 うちの庭では季節も終わろうというのに、未だ無色。 白く開いて、ただ翳りを増すばかり。 まるで、ファクシミリで悪くなっていく画質のようだと思い、 はたと、視界がモノクロであることに気付く。 * ベルギーのトイバ…

イベント案内

体調崩し急ぎ帰宅した夕刻、玄関先で良い匂いを覚えた。 家の者の話からすると、バラのよう。 翌朝にも確かめようとは思うが、やはり風邪で、寝込んでしまっている。 ようやっとに床を離れたのが三日後。 這い出た庭に、すでに花は無い。 しかしそれでも、曰…

イベント案内

親戚の集いに居場所を見付けられず、離れた場所でコーヒーを飲んでいると、 従兄の子が紙束抱えてこちらへやって来る。 どうやら、描いた絵を見て欲しいらしい。 家族旅行で目にしたのだろうか、色鉛筆の線が景色らしくのたくる。 しかし、山だろうが海だろ…

掲載案内

古本屋ではなく、スリフトショップの段ボール箱の中で見付けたことからして怪しい音楽誌。 小学校の美術室の壁に並ぶお父さんの肖像よろしく描かれた、ミュージシャンの木版画が毎号表紙を飾っているのだから、益々。 季刊 瓜歩 1981年春号〜83年夏号(82年夏…

展示案内

雪か花でも吹き込んでいたか。 なにもない部屋が、白く、ほの明るい…。 僕らが口にする‘空白’。 かたちも色もなく語るもののない様子なら、黒と表すのが妥当なはず。 そうとはしないのは、きっと、始めからなかったのではなく、なにかが退いた後だから。 白…

出展案内

‘犬の名前が欲しいの’と、店先で小さな女の子に尋ねられ、 自分で名付けた方が良いよ…と応じながら、湧いた疑問そのままに、なぜここに…と返す。 ‘アートはなんでも扱うのでしょう’。 いや、名付け得ぬものを扱うのがアートだ…と、 持って回ったような回答を…

仕事案内

美容院の席に置かれる雑誌。 表紙も見ずに開く頁に、散る髪。 前に手にした人のと混じり、床に零れる。 古くは髪に情念を託したというから、 さしずめこれは、宛先不明のメッセージ。 華やかな情報の上で、想いが断線している。 * 宝島社の男性ファッション…

イベント案内

その日集った三人。 一人が‘ピアノの上に積んだ本が崩れただけで、音楽が生まれる’と言いだしたことで、 ‘それは、本が奏でた音楽だ’ ‘ピアノからの演奏の要求だ’ と話は紛糾、喧嘩別れ。 でもそれで、中華、洋食、イタリアン、それぞれが好物の夕飯にありつ…

夜の辿り着くところ

空気の冷たさに、人と人の空隙を錯誤することがなさそう…それが、冬が最も好きな季節であることの理由の一つ。 だからか、暖かい心持ちで過ごしていると、不安も訪れる。 隣人に手を触れることが出来そうなのは、きっと僕の錯覚だ。 12月4日。 祝いの品にと…