展示案内

道に迷ったわけではないけれど。 地図を手に歩み進めていると、奇妙な感覚に陥る。 何を頼りにしているのかと。 どんなに精緻であっても、地図はこの場所の俯瞰ではない。 そうだな…例えば原寸立体の地図があったとしても、それが僕らの街とはならないでしょ…

催し案内

絵を描いていながら、紙の表裏判断がどうも心許ない。 そういえばかつて、裏と表では匂いが違うと言っていた人が知り合いにいたな。 紙を宙に持ち上げて…空間を分かつ被膜だからなんよ…だと。 しかし、分かたれた上/下、左/右に匂いの差なんてあるか? ふむ…

展示案内

蜃気楼が出ていると教えられ、海岸に出てみる。 確かに、煙った水平線に波形の帯が見える。 あれは対岸の景色の逆さまの映しらしいですね…と口にすれば、 「ここから眺めていては、どこの景色だなんて確かめようがないでしょう」。 応えるのに窮して、行って…

イベント案内

伝聞、もしくはテレビの映像を頼りにだろうか。 その場所へ行ったことのない者の口から語られる驚異。 それならば、 月表面にも、住民しか使わない路地に面した近所の庭にも、 同じようにある。 * 開催中の二人展に連動して、 会場で、互いの耳馴染んだ音楽…

展示案内

すっかり片付いた納戸のどこかで紙が鳴る。 丸めた紙が次第開いていくみたいな音。 ああそうだ、預かったものを紙に包んでここに隠した覚えがある。 ただ、誰に何をか、肝心なことは何一つ思い出せない。 見付からぬ出処に澄ます耳の中にこそ音がある気にも…

続STAY STRONG! JAPAN

先日お知らせした、国内外80組超のアーティストが画像+メッセージを寄せた東日本大震災復興応援iPhone用ドネーションウェア【STAY STRONG! JAPAN】。 i Phone / i Pod touchユーザーのみならず、もっと多くの人に観てもらえたらとYouTubeに動画がアップされ…

STAY STRONG! JAPAN

東日本大震災復興応援プロジェクトとして、国内外80組超のアーティストが寄せた画像+メッセージで構成されたiPhone用ドネーションウェア【STAY STRONG! JAPAN】。 i Tunes Storeから無料でダウンロード出来ます。 i Phone / i Pod touchユーザーの方は、こち…

イベント案内

子供の頃に拾った貝殻が入っているとばかり思っていたクッキー缶から、 仕舞い込んだままに忘れていたフィルム束が出てくる。 試みに幾つかプリントに出せば、隣近所が空き地だった頃の景色が届く。 その内の一枚、醸成地の空に欠片か結晶めいたものが浮かぶ…

イベント案内

春の雪。 その花片めいたものが散るのを、窓内から‘見せて’と声が飛ぶ。 慌てて手を伸ばし、 ふと、掌に落ちるのを待つのと仰いで受けるのとでは、景色が変わるのに気が付く。 触れる端から消える雪に、その景色しか残らないんだ。 これはちょっと、部屋まで…

個展諸々案内

ドイツの騎士伝説の外伝たる民話。 その花を食せば忽ちに悩み迷いが霧消する植物。 栽培が難しい上に、十年一夜に一輪だけ花を咲かすという。 病の娘を恋人に持った男が、彼女のために幾株も集め丹精込めた末にひとつだけ蕾がつく。 しかし、こんなにも蟲惑…

イベント案内

庭に枯葉が吹き込み/降り積もる季節。 手に取った一葉。 試みに裏の葉脈を辿ると‘あたり’に行き着く。 景品は何か? * 会期残すところ僅かになった個展“Miroir”。 (会期26日まで延長しています)。 25日会場で行われるイベントへの参加のみならず、 好評に…

個展案内

腹が減ったと顔を出すと、叔母はさっと一人前、麺を炒めて出してくれた。 食卓と対面の台所には、もの持ちが良いのかインテリアなのか、一枚扉の白い大きな冷蔵庫が鎮座している。 隣の仕事部屋から叔母がバタバタと戻ってきたかと思うと、そこにメモを留め…

石鹸解体〜イベント案内

南北戦争後の混乱に乗じた名立たる強盗の中でも、彼は脱走の名手としても知られた。 あたかも趣味であるかの如く、捕まっては脱走を繰り返す。 それも、錠を破るのでも穴を掘るのでもなく、人手から牢から裁判所から刑場から、忽然と消えるのだった。 仕舞い…

ライブ案内

子供の頃。 駅前の駐輪場の裏手に閑散とした一画があって、 テレビでも何度か心霊スポットと紹介されたことのある廃ビルはそこに建っていた。 果たして幽霊は実際住んでいて、正体は年老いた女性の浮浪者だったのだけれど。 毎年、初夏の頃から、微かに空気…

展示案内

十一月は、イメージで捉え難い。 秋と冬の間隙だからだろうか。 その空いたところに作品を並べ置くことにする。 すると、言葉が、手が、視線が交わされ、 ささやかに賑わいが興る。 この機に関わった者だけの、特別な季節を象るかのように。 散らばった点を…

展示/リリース案内

久しく会っていなかった友達に、食事へ誘い出される。 思い出したように届く時候の挨拶から、疎遠の理由は結婚〜出産と承知していたけれど。 落ち着く気配すらないこちらを話の妻に、自ずと暮らしの報告を聞かされる。 浮草たる身の所以、距離を置いて打つ相…

ライブ/寄稿案内

ふと口を吐いて出たフレーズは‘You And Your Dog’だと気付いたけれど、以前に処分したレコードに収録されていた曲だった。 それが、旋律頭に回るままに入った中古盤屋で見付かるのだから、買い直さずにはいられない。 答合わせに臨むかに鼻唄交じりでいざレ…

イベント案内

次の土曜に予定していることを、口に出して言ってみる。 ‘ピクニック’。 語感面白く、繰り返す。 ックックックック…リズム刻む内、 興味は対象の前に失速していた。 * 以下に案内する展覧会。 明日11日、14時からのトーク【メールアートの楽しみ】に参加し…

展示案内

小学校低学年までの僕は空っぽで、周りに対しては反射で応えているだけ。 おまけに喘息持ちで学校も休みがちなものだから、 未だ消化しきれないほどに記憶に溜め込んだ、日々変わり映えのしない景色が周りだった。 そんな有様で床に伏したところを、一度切り…

出展案内

ひょんなことから、とある画家の米寿の祝いの末席に加えさせてもらった。 ご馳走目的で足を運んだものの、挨拶ばかりは済ませておこうと主賓に近付いたところへ、 酔狂からと思うような質問を耳にする。 ‘先生はなぜ描かれるのですか’。 応えて‘白いままの画…

円盤ジャンボリー

雨の中、道に迷っている。 プリントアウトしてきた地図の上でも、 傘から落ちる滴にインクが滲み、覚束なくなる。 呼応するかに、視界まで滲み流れ出すほどの酷い雨。 逃げるようにして、ようやっとのこと大通りに出れば、 見覚えのある場所。 二つも駅を越…

美術の仕事

開いて、 畳んで、 箱に仕舞う。 シンプルな作業の中に、 良し悪しは別にして、経験や資質が表れる気がする。 部屋で過ごす。 家で暮らす。 世界にある…のと同じように。 開いて、畳んで、仕舞う。 * そんなことに気付かせてくれる搬入仕事。 考えまで簡潔…

伝言告知

以前に湾岸の工場地帯でバイトした折、 現場へと向かう車の中から、高く積まれた救急車、消防車の山を見た。 処分を待つ廃車の集積所なのだろうけれど、 粗暴な手によって目指された緻密のようであって、あれはまるで巨人の積木だった。 そういえば神奈川に…

展示案内

その人から届いた葉書の表には、なにも書かれていなかった。 問い質そうにも、今になって分かる連絡先は、そこに記載された住所だけ。 けれど、手紙してまで尋ねるのも憚られる気がする。 ぽかんと白く空いた表面といい、細い字で二つ連ねられた住所といい、…

展示案内

cutter knife skating -1 僕の時間には欠落がある。 酔って暈したような記憶ではなく、 気が付くと別の場面にいるような、 すっぱりとした切り口の欠落。 だからだろうか、時間を連続体と捉えることが出来ない。 どこかで、映画のようなコマの束と感じている…

ライブ案内

自転車で坂道を下るのは楽しい。 近所につづら折りに曲がる凄い坂があって、ついついブレーキも緩む。 週一の通勤路で必ず出会う、女だてらにこの難所に挑む人があるのだが、 一度として追い越せたことがない。 歩道がなく白線が引かれただけの車道…抜くには…

インタビュー映像案内

cutter knife skating -5 英国の創音集団THE NEW BLOCKADERSは、 その初期に‘アンチ’をスローガンに掲げていた。 無に到るまでの排斥。 一方で無音のトラック、他方で金属の軋みで充満した音空間、 いずれもがその成果なのだろう。 両者が表裏…均質なものだ…

イベント案内

cutter knife skating -4 個人の認識は、他者のものをも捻じ曲げる。 例えば、記憶の欠落で出会った人に、 挨拶されても返しようがない。 断線した交流から、互いが互いの知人項から削除される。 例えば、因果律に並ばぬ記憶は文脈を欠き、情緒が失われる。 …

WEB記事案内

cutter knife skating -3 過去が瞬く景色の束であるならば、 ‘今’も、一瞬毎人それぞれに配られるカード。 それは自ずと、個人の領域をも示す。 僕の手にある‘今’と、君の‘今’は別のもの。 立ち入ることは出来ない。 せいぜいが、僕からもカードを渡すばかり…

イベント案内

遊びに来ていた甥と、家の裏手に放置してあった材木を使って、 すぐ近所の空地の立ち枯れした中、小さな家を作る。 あまりに小さくて、ペンキまで塗ったというのに僕は入れない。 中にこもった切りの甥に向かって、 ‘長く過ごすには寒くないか’と問えば、 ‘…