ジャン・ポーラン - タルブの花(晶文社)

linedrawing2015-02-04

難解と聞いていたのに、滞ることも無く読了。
いちいち引いてくる固有名詞が当時はセンセーショナルだったのかもしれないけれど、帯の惹句をハッタリと取っても躓かない。
ここにあるのは、伝達の道具としての「言葉」をただただ信じ、いずれの主張の視座からも眺めてみて解剖学的に事象を捌いていく、その機能回復を求めての古今の書物言説を巡る渉猟。
「表現」を振る度目の変わる可能性の賽と見ている僕には、一つの文に一つの意味を理想とするのには附いて行けないところもあるのだけれど、そこはミショーにメスカリンの服用勧めた編集者でもあるジャン・ポーラン…酩酊にも明解な記述をか。
文芸評/言語論のそぶりで、「言葉」という聖遺物探して世界を経巡り、苦難の末に/いや困難に濾過されるかに身近にあった宝に気付く…語られる冒険譚は痛快なまでに面白かった。
当たり前だけれど、想像力の圏内で生まれる成果が物語ばかりとは限らないんだよな…とはいったって、仕舞いの一文は手にしている本が何であるか分からなくなるほどに凄まじ過ぎるだろう。