花天井

linedrawing2007-04-06

3月29日。
大小便を催すは、あやかしの来訪を告げる…と聞くが、電車内で乗り合わせたか、調子が悪い。
トイレを中継に、機材、忘れ物、展示の様子…と、拾って周る。


花に浮き立つ上野。
打ち合わせに先んじて、ここの印象から始めようと待ち合わせた、法隆寺宝物館
吹き曝しに置かれた入れ子状の箱。
暗い内部に、最小となる展示ケース。
ぼんやりとした灯りの中に、小さな仏像を納めて林立する。
薦められるがままに、僕も空間に嵌っている。
地下を透かし見ることが出来るとしたら、鉱物とはこうした眺めにあるだろうか。


製本家の羽田野麻吏さんと次に向かうは、作品制作に備えての文字ネタ探し。
都立中央図書館
ここでも先導してもらっての発見。
山村暮鳥尾形亀之助
自律する言葉を眺めるのは楽しい。
食堂での一服に注文した‘フローズン’なるものが、ファンタを凍らせたものであったことも吃驚。


あれこれの言葉添えての夕飯済むまでには、昼の不調を忘れていた。


イベントのある翌日を本当は選びたかったが、他の用件もあり30日。
NO12. GALLERY原田淳子“とわずがたり”展。
人里にあって、人影絶えたかの景色。
焦点は鬱蒼と茂る影にあって、ひっそりと描かれている。
その木陰は隠れ家を思わせ…展示空間すらも。
待っているのでも、避けているのでもない…は、作家の印象そのまま。
とは言え、こんなに長く話したのは初めてだったかも。


折角に青山まで出たからと、桃林堂で小鯛焼きまめで豆大福を購入。
甘味のはしご。
翌日のお茶に立て掛ける楽しみ。


帯留展での作品に興味示してくれたことを聞き、向かうDEE'S HALL
ダイニングとも作業場とも思える空間が開けている。
名乗り、挨拶ばかり。
開催中は、山口一郎“UNAGI COMPUTER STUDIO”展。
遠目には、それこそ既成素材のカットアップとも映るが、コラージュされているのは自作の絵。
元絵/完成画面、抽象/具象の形、過去/現在…現れる距離感あれこれにくすぐられる。


忘れぬ内に、昨日の今日で尾形亀之助の詩集を文庫で。
暮鳥は、寄った書店では見付からず。


4月4日。
駅そばのビルに寄ったトイレで、便座が突然に割れたのには慌てた。


詩句選定の続きで、羽田野さんと再びに中央図書館。
家で調べて引っ掛かった名前から実文に当たり、惹かれる作品を採り、更に2人で間引いていく。
作業の合い間に窓外へ目をやれば、度毎に雷、大雨、みぞれ、雪と目紛しい。
あいにくの天候この上ないが、実に傘は使わずに済んでいる。
舞台背景のような空。


作業持っての夕飯は、久々のDADA CAFEで。
注文したカレーで、素揚げの野菜が顔を模している。
さて、表情は。


5日。
高座渋谷の千本桜に、花見散策。
住宅地の中、家の近所にも下っている川沿いにある名所ということに、正直なところ、さほど期待も抱けぬまま足を伸ばす。
それがまさか、ここまで見事なものとは。
高く大きく立ち並らぶ木のアーケードが延々、花の天蓋も空に向かって森々と。
根に躓きながらも、唖然と見上げたままに進む。