経過と報告/硬貨と広告

linedrawing2007-03-24

13日。
列車内に、イヤホンに歌詞カード片手で唄っている老人。
知らず声が伸びるのか。
この節は…“霧の摩周湖”ですか?


刷り上ったフライヤーを受け取る代官山gift_lab
手にした仕上がりは、レイアウトで眼にしていたのとは異なるモノクロが、予期せぬ柔らかさ・暖かさを伴っている。
浮き立つその足で郵便局、出演者へと送付。


久々に寄るGallery it's
挨拶の言葉と共にチラシを渡せば、同日こちらもイベントとのこと。
地理からいっても、ライバルですな。
一旦揃い始めると、端々まで合ってくるタイミング。
ちょうど展示していたのも、面識ある‘小川’さん。
新谷仁美・小川サトシ“光”展。
競作者の作品含め、いずれも光に透かしたかの画面が並んでいる。


月毎テーマで店内が替わる雑貨店、ggにも配布。
3月のテーマは‘花’。
小さな花束を模した菓子を買っていく。


大量部数を託す渋谷ontonson
ここでも、目出度い話と共に偶然を拾う。


gift_labに急ぎ戻り、機材・進行確認。
渋谷に立ち返って、COMMUNE DISC鈴木さんと打ち合わせ。
ふぅ、なんて歩幅の広い反復横跳び。


14日。
経堂ROBA ROBA cafeにて空間談議。
開催中の森貴義“ガラクトーイ モリジナル”展…カーニバルのごとく居並ぶ小さな木製のクリーチャーといい、こここそなによりの場所と思うが、何をか惜しんで言葉にはしない。
千葉にある美術館の話から、元大工が亡くなるまでの老後の日課としていた封筒制作の仕事を教わる。
その紙の姿を納めた本、開いてしまったら購入せずには居られない。


大久保名曲喫茶カオリ座、平間貴大 展。
地下の黒く塗られた小さな空間一杯に写真集を収めた店内。
そこへ更に、写真、ドローイング、カセットテープを積み上げる展示。
曝されていながら全てが眼/耳にされることはないだろうことから、堆積こそが作品と思い至る。
それこそがアーカイブか。


以前に同じ場所での個展に足を運んだことからお知らせもらった、中沢美帆さん参加のグループ展。
目白ブックギャラリーポポタム“椿、早春”展。
落花から忌避されることもある椿をテーマにしながら、いずれの作家の手になる作品もほっこり暖かい。
そうか、きへんに‘春’だものね。
遊戯場めいた空間に、吹き込んだ季節のごとく馴染んでいる。


ここをゴールにと周ったこの日。
上野の森美術館VOCA展2007”レセプション。
三者に回ればとの考えも、表層が上滑りする会場に、やはり落ち着かなくなる。
前日から符合を持ち越したか、やたらと知った顔を見つけたとしても。
本当に甘い佐々木愛タペストリー、記憶が視界を被う石井礼子、所作を放る岩堀敏行、空く写真の森本美絵…惹かれるがゆえに、別な空間に移したくなる。
そして、佐々木加奈子の写真作品。
周囲を忘れ画面の前に立つ間は…世界に点在する彼女の日常が、更に遠くへと向かうのかと打たれる。
初めて眼にした時に刺さった感覚は、そのままに深くへ。
そればかりを頼りに、帰宅する。


18日。
機材搬入にgift_lab。
そして、フライヤー撒きに周辺を回る。
初めて訪れる雑貨店AQUVII、人形芝居の小屋のような店内、居合わす人等…面白い。
‘大成は犠牲を伴う’という占い師の言葉まで、刺繍が紡ぐ物語にあるよう。
しかし、望むところに向かうには、何事もそうだよね。


作品参加している“帯留展”を覘きに、青山スパイラルへ。
丁寧な設えに置かれた、いずれもの力作。
それを見て、素材から逃げずにおいて良かったと思う。
そうでなかったら、ここには並べられないところだ。
関わった者が皆、興味を逸らしていないことを嬉しく感じる展示。


この日の流れはここまでだったか、イベント告知兼ねて続けて動くも、あとは空振り。
ただ、WEB上で知り得て足を延ばしたshima&sachi“いちごつみ”展。
shimaさんの作品に、目指すところ/描く衝動の分離を眼にしたようで、なにやら触れるところがあった。
会場であったアートスペース・アブラウリの奇妙な佇まいも、また収穫。


21日。
Linus' Blanket Society #01”当日。
…にも拘らず、明大前モダーンミュージックでお喋りしている。
ここで話すことはいつも、‘うた’について。
ボイスパフォーマーと称する者が、唄から離れていってしまうのは何故なんだろう…云々。


遅刻に慌てて向かう、セール開催中のontonson事務所。
遠方からの友人との待ち合わせはここで。
意識の外ですでに面識があったかと思うような、初対面。
メールでの言葉そのままに喋りながら、連れ立って向かう会場。


gift_labへは、僕らが一番乗り。
かといって、慌てることもなく準備は淡々と進む。
ゲスト到着、音出し、開場、来場…と平常心で眺めていたつもりが、トーク始まって…いかん…何かを欠いていることに気付く。
言葉をコントロールしきれない。
岩岡さんの真っ直ぐな印象、chibさんの飛沫のような演奏に、低頭する他ない。
終了後の歓談にも救われているのだから、いっそう質が悪い。
#2に備えて、ここに刻んでおこう。
まずは空白が欲しい。
でも、なによりも先に感謝を捧げておかなくては。
ありがとう。