指先確認

linedrawing2006-12-24

三日も過ぎれば、日付/事柄の順列を前後して記憶していようが、支障ない気がしてくる。
そうではあっても、19日のこと。


微妙に景色が記憶と異なる久々の商店街を抜け、ROBA ROBA cafe、“JOURNEY”maggie and tattaka展。
tattakaこと高橋さんの、自在とする手業は絵筆と見受けられる。
ほら、表現は画面の中に納まっている。
そうなると、周辺にある仕掛けは、輪郭を暈かすばかりに。
焦点を留め辛い空間。
…と会期毎に様相は変わっているはずなのに、この場所で感じているのは、いつ来てもの心地好さ。
居座って、オーナーと気に入りの場所について話している。
入れ子様?


ネジだ、金具だ、インクカートリッジだと、買い出しに慌しく回る新宿。
取り置きしていたPTOSE“Early Recordings 79-83”も、忘れずレコード屋で購入。
まず入手は無理だと思っていたカセット・リリースでの音源、その編集盤だけに聴くのが楽しみ。
きっと、地下生活のマペットたちが演ずるサーカスだよ。


新宿で欠いたものが買い揃った渋谷。
その足で急ぎ、閉廊時間迫るギャラリエ アンドウ、淤見一秀 展。
奇妙な間取りの白い空間に、居住まい正すかたち。
以前に見た作品では、編まれるワイヤーは本を象っていたが、さながら頁の層は別の形をも採り得るということか。
小さな現れでありながら、白一色の背景も手伝ってか、空間は作品中にあるものと覚える。
編目をプリントしたガラスを重ねた作品など、同様の試みをしたこともあってか、虚を衝かれた思いで眺めていた。
一見に拘らずコーヒーを出してくれたオーナーと思しき人。
自己紹介に取り出す冊子に応えて、気に入るかもと薦めてくれる展示予定作家のカタログ。
齋鹿逸郎…鉛筆で画面びっしりに反復される形象…あまりの強度に怯んでしまう。
埋め尽くされた年代を追う頁が、70を過ぎる現在に至るまで、自分の仕事を続けること…を示している。
頁繰りながら伺う話に、紹介する側の強度までが見えてくる。
ここでは、おいそれとファイル披露とはいかない。


続き急ぎ回る中古盤屋。
漁るは廉価箱。
CHRISTIAN DEATH“Deathwish”は、V.A.“Blop Esette”のCD版でL.A.F.M.S.との関連を突かれ、今さら気になっていたものの正規の値段では惜しく。
早過ぎた音響カントリーのTHE WALKABOUTS“Scavenger”は、BRIAN ENOと10000 MANIACSのNATALIE MERCHANTが参加していることもあって。
インプロ・ノイズ・ロックのDEMO-MOEは、来日経験もある美術家のISTVAN KANTORがジャケットを担当しているから。
そして本当に欲しかった、笛アヴァンギャルドのBARNEY CHILDS“Clay Music”。
当然ながら、100/200円払うのにもそれぞれに理由がある。


仕舞いは、これまた注文していたCDを取りに。
TOM RECCHION“Sweetly Doing Nothing”…この人もまた、テープループの上でガサゴソと自分の仕事を続けている。
選んだのではなく、見つけてしまったのなら、上手い/下手といった物差しからは峻別されるのだろう。
店内で、先日の“WARSZAWA DREAM vol.2”で出会ったrockatansky recordsさんと偶然再会。
話している内に、面識に肉付けが施されていく。
手業はテープ・コラージュ…彼も我も手先から捻り出そうとしていることを知れば、嬉しくなる。