黄断

linedrawing2006-12-11

アメフラシが雨を降らすのだとて、海の底にあっては、雨滴の処在もつかめまい。


9日。
細々と煩わされることに調子悪く。
師走の雨だろ。
あれこれ取り零しながら進める足。
路面に標もなく、塗装中のビルを5階に上がる。
PRISMIC GALLERY、中村竜治 展。
プレス・ルームのような空間に、紙で編まれた美しいテクスチャーが並ぶ。
現物/実物写真を交えながらも、それは建築家の作品模型。
ロケーションのせいか、作品が空間に纏わるからか/模型だからか、何か現る舞台が準備されるばかりの印象。
会期前に忍び込んでしまったかと疑ったり。


東青山“SMTWTFS07”立花文穂 展。
来年度版カレンダーの原画展示。
普段は店舗であるこのスペースの、スタッフがふと口にする言葉が鋭くて、大好きだ。
作品集とも映る限定プリントに、日々の夢を記していくと。
言われてみれば、皺の寄った紙にぼつぼつとスタンプされた数字は、闇に明滅する標とも見える。
僕にはちょっと、壁には貼れないなぁ。
それ自体が素地とも映るから。
有象無象が現る素地。
素地なら壁で充分。
眠る人の夢を壁に映す。


クローゼットに吊るされた古着の襞の奥の避難小屋。
集いし作家による、クリスマス・スーベニア。
süß museum“ROMA'S RING”。
首謀のNEON O'CLOCK WORKSが作り込む書き割りの世界に訝しむこともないのは、それこそ衰退しながらも脈々と続くゴシック/耽美とは違うところに素材を求めているからか。
今回の空間の明度を見よ。
この日在廊していたRUN & RUNの作るポケット…制限ある大きさでありながら中身を問わない…趣向に惹かれる。
話し聞くうち、別テイストの作品も見たくなる。
つい、こちらもファイル披露…とは全く失礼。


長居祟って、予定一つ飛ばしに〆のART BY XEROXクリスマス会。
七面鳥までの登場に、印揃えて乾杯。
志村さん、ごちそうさまです。
季節の行事ばかりと、いつもの・久々の顔と、しこたま呑み/喋る。
面倒も宴も、同じ糸から紡がれている。


雨で散り散りの銀杏の葉、帰路の自転車で轢き轢き。