ALBERT LESKOWSKY – Music For The Instruments Of An Exhibition(lp '92?)ハンガリー

linedrawing2012-06-28

欲しかったレコードには違いないのだけれど、売り手からの‘喜べ、サイン入りだぞ!’とのコメントには素直に応えられるかどうか。
街に寄贈したコレクションで博物館(http://hangszergyujtemeny.hu/)が建ったほどの楽器蒐集家が作ったレコード。
もちろん演奏披露するは集めに集めた楽器たち。
自ら鳴らすに止まらず、楽器各々に固有の響きを得ようとしてか多くの演奏家まで招いている。
となればデモンストレーションの体を成していると思うのが筋だろうが、然にあらず。
耳に入るはなんとも奇妙な構造体。
強いて近いところを挙げれば、RENALDO & THE LOAFの『The Elbow Is Taboo』だろうか。
A面一曲目は蛙の鳴き声に始まって、様々な民族楽器が円を重ねるようにリズムに加わっていき、
仕舞いの無遠慮なアナログシンセの闖入で異次元のフロアに転げ落ちる。
続く楽曲もご同様…楽器由来の旋律が奏でられたところで「Afro-Hungarian Music」とされる始末。
B面に到っては、そのコンビネーションでヒップホップやハードロックにまで挑戦。
思い付きからの速攻がダサさの向こうへと突き抜けていく。
瓦に茅葺、尖塔にドーム、銃眼と風車にカリヨン…を同じ軒に設えた建造物のごとく、持って来る端から要素を積み上げに積み上げ、もはや由来を量る気にもならない構造体。
集めるということから、すでにもの作りは始まっているんだな。


これほどの妄想の出版ともなると自ら担う他なかったのか、ジャケのクレジットはレーベルではなくプレス会社という正に私家盤。
件の博物館、この妄想まで引き受けてくれただろうか。
…と(要は素人の手になる)サイン眺めつつ思う。