先に語られることの顛末

linedrawing2010-09-03

9月1日。
個展に備えて、画材の買い出しに向かう町田。
買い物自体は簡単に済むと考えていたので、つい予定を加える。
横浜線で駅二つ隣の淵野辺
陽を遮るものがない道を20分歩いても目的地が見えないことに、
ついでとは言わないなと苦笑い。
地図を頼りに、店があるとは思えない住宅地に迷い込む。
入口は庭側と、更に細い道へと誘う標識。
社宅だなんだとかつてはあちこちに建てられていたトタン張りの平屋が、
裏手へ回わったとたん、そこにしかない愛らしい空間に反転する。
ひなた焼き菓子店。
収穫誇って並べられた木の実めく菓子の数々に目移りしながら話した店主も、
凛と静かな姿から気風良い言葉が飛び出して。
総じて、こちらの予測の外にあるかの佇まいが魅力的。
旦那さんは家具職人というし、もの作りが交錯する場所でもあるからか。
北鎌倉での催し前に訪れて、チラシお願いすれば良かった。
とはいえ、この場所での営業は10月23日までで、東林間に移転するとのこと。
通い易くなるし、地元での催しの言い訳も立つようになるな。
ちなみに、新店舗開店日/場所は、客のブログか勘に頼ってくださいとのこと(笑)。


淵野辺まで足を延ばした目当は、ディスクユニオンの初めて訪れる店舗にもあったのだけれど、
期待誘う広さに反して収穫無し。
いや、収穫はそこまでの道すがらあった。
通り抜けた公園内の鹿沼なる沼。
でいらぼっちの足跡との伝承記した案内板が立っている。
相模野との覚えはあったが、昔、柳田國男の著作で読んだ場所がここ?
帰って“妖怪談義”に当たれば、まさしく!
…昔、デエラボッチなるとても大きな人があって、ある時、富士山を背負おうと藤蔓を探したが見付からず、
地団駄踏んだ跡が鹿沼と菖蒲沼だと記されている。
かつては、尻餅やふんどし引き摺ったとされる跡も近くにあったらしい。
案内板には名前から話から微妙に異なって書かれていたのがまた興味惹くけれど。
それにしても、詳細無くして痕跡ばかりの妖怪だな、大太良坊は。


買って帰った菓子は、甘さが静かに尾を引いた。