買物帳

linedrawing2008-01-03

用事のいずれもに綴りは纏わるもので、それこれ片付けるだけで億劫になってしまう。
結果、滞るのがここ。
凝りを解すように文字が紡げないものか。
今はまず、記憶を解かなければならないのだけれど。


10月31日。
会場が美容院とあって、不定閉店時間を待っての搬入作業。
備えて早目に東京に出る。
ネット上で見付けた時には日本でお目に掛かることはないだろうと踏んでいた、The Guild Of Funerary Violinistsの録音集。
どっこいそれが、レコード店に並んでいるのを先達て発見。
実際目の当たりにすれば、連綿たる歴史と共に葬送バイオリン奏者協会が記録保管する蝋管起こしということ…公開資料CDRにこの値段か。
くぐもった音質の中ぽつりと揺らぎや歪みまで曝すWILHELM KLEINBACHなる奏者の演奏に、惹かれる気持ちとの天秤。
購入迷った挙げ句がこの日、要らぬCDを買取に出し、加えてサービス・クーポンまで利用しての入手。
心持ち、音々交換で済んだような。
そうこうする内、頃合いかと美容院に確認入れるが、まだまだ相当に押す。
用事済ましてしまって、費やしきれない時間に困る。


11月8日。
渋谷の中古盤店にて収穫あり。
L.A.F.M.S.発信のポストパンクBPEOPLEに、SCREAMERS、NERVOUS GENDER等々の名キーボード奏者PAUL ROESSLERとMINUTEMENのMIKE WATTのユニットCRIMONY。
自ずと浮き足立つも、次のsuB museum、RUN & RUN“Balloon”展に向かう途中で、会期が昨日までだったことに気が付き躓く。
予定重ねたつもりが、これのみの表参道…アートスペース リビーナ、“JAM”展。
お知らせ貰ったmayuさん始め目を惹く作品もあるのに、空間に呼応せずの‘陳列’がいたたまれない。


お茶の水で、紙に触れ確認しつつ進める打ち合わせ。
後日、見本帖で更に選択肢広げようと決め、解散。
帰りにも新宿の中古盤店に寄り、廉価箱から100円、50円と勘のみで拾う。


11月12日。
さて、神田見本帖本店
会議室を白いオブジェクトが占拠したような奇妙な空間。
大量の紙見本には指針すら覚束なくなりそうだけれど、係の人に相談して出してもらった紙種に、手触りで即決。
そこから地下鉄で数駅先の某社で打ち合わせ。
眩むほどの展望誘う話に、ゾクゾクと細胞の振動が止まらない。


11月13日。
既に始まっている展示に、このタイミングでレセプション。
そもそも不安な客足に、差し入れまで当てにするのはどうかと、家から箱でビール抱えて白金台へ。
それが、この予防策は気持ち良いように外れ、手土産併せて集いに集った賑わい。
僕から端を発したとは思えないほどバラバラな顔触れに、それぞれがハジメマシテと交わしているのを目にするも嬉しい。
この盛況振り、様々な偶然重なってのことだろうから、来場者・関係者に始まり種々細々な要素に至るまで感謝したい。
展示でホッとすることなんて、ここのところはなかったことだから、それこそ痛いほどに。


11月16日。
先日の中古盤店で、目の端に捉えていたCHARLES DODGEのアルバム。
調べてみれば、コンピューターに唄わせよう…いや、喋らせようとか…している電子音楽家。
技術者との印象も強くなるが、実際に鳴るサウンドの奇天烈にして面白いこと。
購入に渋谷寄ってから、原美術館ピピロッティ・リスト“からから”展。
映像作家という紹介が通用するか、モニターから始まり領土を広げる箱庭。
境界無効に溢れ出てはいますが。


11月30日。
近作にPIERRE BASTIENとの共作もあり、トイっ振りを上げつつあるLUKAS SIMONISが在籍していたオランダのNEW WAVEバンド、TRESPASSERS W。
その2枚組みアルバムをこの日の収穫に、ちょっと先の展示の基礎組みにギャラリーオーナーと打ち合わせ。
まだまだ雲を掴むかの段階なので、ほぼ放談。


展示搬出もやはり押し、遅い時間から。
次のクリスマス・グループ展の搬入に来ていたイラストレーターの安斉将さんと、終って寒空の下、缶ビールで乾杯。


12月2日。
先日見たばかりといっても、寄れば寄っただけ面白いものが見付かることもある。
新宿で周るレコード屋でジャケに見覚えがあるもの他数点。


貰った招待券余らすのも勿体ないと、クマリネさん呼び出してのイタリア文化会館クロッシング・ビジョン”。
待ち合わせた地下鉄駅出口で、待ち合わせたはずもない音楽家のノブナガケンさん、舩橋陽さん、イラストレーターのユミコフさんとも出喰わし、ぞろぞろと会場へ。
冒頭にイタリアのダンスカンパニーFRANCESCA SELVAの単独プログラム。
スカートのみを身に着けた女性のソロは、どこか弛緩した動きもあって、コケティッシュに愛らしい。
が、スカート外した後半、真っ赤なパンツがあまりに冗談めいて、世界が組み上がらない。
この後の数組の舞踏家と音楽家のコラボレーションは、音響デザイナーの沢口真生によるフィールドレコーディングをバックに置き、“側天去私”と括ったプログラム。
なににも増して背景の環境音が雄弁で、その上に重ね塗られるいずれもが余計な説明に思えて、目を瞑り聴き入りたくなる。
ただ、響きをそっと揺らす石川高さんの笙と、空間を計っていくかの向島ゆり子さんのバイオリン×それを頼りに散策する山崎阿弥さんの声が、長く棚引くよう印象に残っている。


12月6日。
未だ細胞の震えが止まらぬところに驚愕のサンプルが届いて益々に拍車が掛かり、再びの打ち合わせ。
何を言わんとしているかサッパリだろうけれど、口を開いて出るのは‘うわぁ’とばかり。
こちらの好奇が、面白いこと/ものと実れば。


久々に寄れた下北沢F'lmore Record
無沙汰詫びながらトレードで商品求めるとは自分でもどうかと思うが、やはり音あっての音楽談議は、久し振りに灯り点した部屋のように居心地が良かった。


12月8日。
年末セール期ともあって、東京に出る毎に寄らずにはいられなくなっているレコード屋
にしたところで、この日の大漁振りはどうだろう。
なにより、PARTY BOYSの1stを見つけられたのが嬉しい。
ベースがSONIC YOUTHのアルバム“A Thousand Leaves”のアートワークを手掛けていた美術家MARNIE WEBER、レーベルオーナーSAVAGE REPUBLICのBRUCE LICHERは刷り師ということもあって、シルク刷りのジャケットも美しい。


ここ数年の恒例となっているART BY XEROXのクリスマス会。
見知った顔が揃わないのは寂しいとか言っておきながら現金なもので、居合わせた者で盛り上がった話を場所を変え麻布十番high-kyoまで持ち越す。
取り留めないようでいて、ポンポンと交わされる意見に筋道が継がれていく。
楽しさに、店内展示が興味惹くパラフィン紙を使ったものであったのに、確認するのも忘れている。


12月15日。
新宿でEYE&EARCONTROL土屋さんと打ち合わせ。
ここまで二転三転しながら来たけれど、面白い出口へと到りそう。
別れて寄るジャズレコ屋で、探していたオランダのR.I.O.サウンドNOODBAND発見。


作品、データ渡しにGALLERY it's、開催中は熊谷幸治 展。
形作られ維持していても、土そのものの温度。
ちょうど在廊していた作家さんに、挨拶に代えてこちらも作品披露。
興味持ってもらえたのに、予定に急いていたか/疲れていたのか、自分でもうらめしくなるほど言葉・対応が荒い。


急ぎ出る吉祥寺、なんとか間に合ったにじ画廊営業時間。
先のクリスマス会でお知らせもらっていた、ミヤタケイコ“クロイ森ノハテ”展。
そもそも裏も表もあるぬいぐるみに奥行き云々言うのはナンセンスかもしれないけれど、大小いくつも吊られた中に立っては、帝国の中枢にあるかのよう。
会場端が遠くに感じる。
一方でゲーム盤上に上げられている感覚もあるのだけれど。


12月22日。
communedisc鈴木さんをGALLERY it'sに紹介。
お互い共通する感覚もあったようで良かった。
その足でコンビで向かうground 2(gift_lab/TRIggER)、2周年記念&クリスマスパーティー
ライブアクトにhelll、前に見た時よりもスタイルの重層に身動き取れなくなってきているよう。
このアンサンブルから自ずと湧くところに任せてみれば良いのに。
先に登場したOPQが、身に付いたガジェット・所作がループの中で奔流を成すのが、自然体の内に行われていたこともあって。
春には次のLinus' Blanket Societyをと約束して帰る。


12月29日。
たまの高円寺とあって端からレコード屋を当たるが、収穫は1枚ばかり。
目的逆転し兼ねないところだったが、先のレセプションにも足を運んでくれたかやのしほさん、鈴木洋子さんが参加する写真BAR白&黒“白黒”展へ。
てっきり写真を物する2人だからとの思い込みは、当人が写っている写真の展示に挫かれる。
驚きました。


ここまで辿り直すのに年越し。
あけましておめでとうございます。
猟盤日誌の様相を呈しているのは、レシートを基に繙いたからで、あしからず。