高架下揺籃

linedrawing2007-06-17

11日。
電車の着いた席の隣で、イアホン共有する二人組の会話。
一方が他方の趣味に興味覚えてのことらしい。
聴こえたのがヒップホップで、君は歌詞を追っているのか、音をなのかと粘っている。
‘趣味じゃねぇな’。
‘あっ、そう’。
…で済む話だろうに。


貯金が底を突きかけているというのに、時間が空くと足が向かっている中古盤店。
この状況に限って宝物に当たる。
UNREST WORK & PLAYの1st 12''EP。
ニセだポンコツだのTHIS HEATまがいで通っているが、そう想わせる複雑怪奇な楽曲を、ガチャガチャバタバタと微笑ましく響かせる存在が他にあるのか。
70年代のSARAVAHからリリースのLE GRAND MAGIC CIRCUSは、渋谷にあったクララレコードで聴かされてこの方探していたもの。
映画音楽家にしてOINGO BOINGO率いるDANNYと映画監督のRICHARDのELFMAN兄弟が、修行時代に参加していた集団とも耳にすれば尚更。
クララですぐにも手に入れなかったのはかなりの値段だったか、NWWリストに記載ありともなれば言わずもがな。
廉価と覚えれば、目の保養のつもりが、購入せずにはいられない。


高円寺無力無善寺、“桃窓”。
その演奏に直に触れるのを楽しみにしていた、金田貴和子さん主宰のライブイベント。
会場八分入りから、ホストとあってか早々に登場の金田さん。
ギターを手に弾き語られるは、それを惜しむほどの響き。
訥々とではあっても脆さは覚えず、見知らぬ土地でそっと呟かれたトラッドを想う。
ステージばかりでなく、家で、野外で、遠くで…深いところで鳴る。
二番手のオオノタカオはフォーク・ポップ…としか言えぬは、音に僕の語彙が合わぬよう。
いくつか引き合いは思い浮かぶが、それを並べたところで。
続くはふやけたニール・ヤングかと、驚かされたのがapartment
アメリカの未だテープで流通する宅録フォークに通ずる風情は、なにかを想起させるようで、ニールヤングに始めて、LOU BARLOW、SIMON JOYNER…とぐるぐる思い巡らすも、仕舞いまで。
それらと同じ狭間を吹き抜けて来る音だと、思い至る。
〆はバンドで、concertmaster
ファルセットのボーカルはどうしたってフィッシュマンズを想起させるけれど、背後に組まれたG×B×Vのアンサンブルはジャジィでもダビィでもなく、ポストロックと呼ばれるものの黎明期のスカスカよろしく、ドンシャリと填まってみせる。
…と、そんな愚にもつかぬ考えを中途で断ち切る、潔い曲の短さ。
土産にクッキーを収めた手製の愛らしい袋までもらい、満足満腹。
常にどこかで音楽は鳴っているものと承知しているけれど、微かな響きまで捉える耳を持つわけではないから、足は使わないと。


買って帰った金田さんのCD“cake of sea”を耳にして、更に痛感。
音の鳴る場所へ、音の生る場所へ。